神社を舞台に、二人の姉妹と精霊ネージュを中心に繰り広げられるスラップスティック・コメディ。(『neige』)
瀬戸内海に浮かぶ小島『九月島』を訪れた主人公とその妹は、久園寺家の屋敷で不思議な体験をする。(『永遠の都』)
新作『neige』とリメイク『永遠の都』がパッケージングされた、アドベンチャーストーリィズ――――。
神社を舞台に、二人の姉妹と精霊ネージュを中心に繰り広げられるスラップスティック・コメディ。(『neige』)
瀬戸内海に浮かぶ小島『九月島』を訪れた主人公とその妹は、久園寺家の屋敷で不思議な体験をする。(『永遠の都』)
新作『neige』とリメイク『永遠の都』がパッケージングされた、アドベンチャーストーリィズ――――。
安い。ここんとこ流行だから、と言えばそうなんだが、低価格の波がエロゲ業界にも押し寄せてほぼ1年、ちぇり〜そふと初の低価格ソフトである。
#出直し版の2800円パッケージは別。
雑誌のインタビューで、あきら氏だったかちゅんく氏だったかが答えていたが、『ライトなものが作りたかった』そうである。予定通り、確かに『ライト』な作品に仕上がっている。
『ライト』な新作である『neige』と、リメイクである『永遠の都』の2タイトルが入って4800円はお得感が高い。勿論、中古や『出直し版』の低価格を考えるとちょっと微妙な値段だが。
ともあれ、『いつもの』パッケージに『いつもの』キャラクター、そこそこの低価格とくればちぇり〜ファンなら買ってしまうだろう。
商品としての戦略性はそこそこあるように思われるので7点。
もう言うことはない。
いや、低価格だから、とか。
再販版でDVDパッケージとかだったら説明書すらないじゃん、とか。
色々あるだろう。
ま、ちぇり〜そふとのマニュアル自体があまり褒められた出来ではないので(『いつもの』マニュアル(笑))仕方ないが、まぁ今回はいつもにも増して、って感じである。
どう考えても3点。一応点数らしい点数が付いているのは、前述の通り低価格版であるにもかかわらずそれなりの『マニュアル』が付いている、ってことを評価したものだ。
それ以外には評価の値打ちすら、ない。
新作『neige』は雪と千夏の姉妹巫女と同居する主人公が精霊ネージュの封印を解いてしまうところから始まる。
『ライト』である所以はまさにここにある。この姉妹が『お堅い』性格の持ち主で、ネージュは『性欲』を司る精霊。で、主人公が世話になる神社の神主である姉妹の親達は旅行中で留守。
ここまで『ベタなネタ』ってのもなかなかないだろう(笑)。
シナリオ自体には起伏がまったくない。ネタ『だけ』勝負、って感じ。お膳立ての済んでしまった状況設定。つまりそこしか『ヌキどころ』がないのだ。
あとはひたすらHするのみ。これではストーリィに起伏を持たせることなど無理というものだ。短いストーリィってのと、起伏がない、ってのは別。
ネージュの悪戯が過ぎるので、再度封印しなくちゃなんない……その数々の悪戯を描きたい。それは分かる。しかし基本的に『興奮させる能力』しか持たないネージュの悪戯はそうバリエーションがある筈もなく、しかも神社内に限られた舞台設定と二人と言う(攻略可能な)登場人物の数を考えるとどうしようもなく平板なストーリィにならざるを得ない。
ま、言ってみれば、「『CG集』を出したけどストーリィでも付けてアドベンチャーっぽくすれば高く売れるかも。かも」な同人ソフトとたいして変わらない、ってことになる。
巫女萌えで、妹(もしくは姉)属性な人なら状況設定だけに投資。そんな感じだ。ストーリィに文句をつけても仕方ない。
『永遠の都』はリメイクである。再録・再販ではない。かと言って完全新作ではなく、単純にシステムを『アドベンチャー』にしただけである。『シェル』を変えた、と言ってもいい。
だが、なんと言ってもこちらはもともと丸々1本のソフトである。しかもちぇり〜そふとのデヴュー作だ。ボリュームはある。
この作品に関してのレヴューは元々の『永遠の都』のレヴューってことにもなるので、簡単に。
所謂『マルチヴュー・シナリオ』に近い、『マルチシナリオ・マルチエンディング』なゲームである。元々は『ノベル』なのでシナリオの長さはそれなりにある。しかも、ほぼ完全に攻略しないと全体像が掴めない(謎が解けない)仕掛けになっているので、プレイ時間は『neige』の比ではない。
ただ、当時も言われていたが『ほぼ完全に攻略しないと全体像が掴めない』ってのがメリットでもありデメリットでもある。他の(18禁・非18禁を問わず)サウンドノベルやビジュアルノベルでもこの形式は多い為、たまたまこのスタイルを選んだだけ、なんだろうが。
『どっちがオマケ、か?』。
このソフトの評価はこの1点に尽きる。
ライトなもの。『軽い』ストーリィ、『軽い』システム、『軽い』……。色々あるが、少なくとも『neige』は『軽過ぎ』である。
『いつもの』ちぇり〜とはちょっと違う……シナリオがちゅんく氏ではない為に文体が多少違う……そう言う意味では実験作なのかもしれない。じゃあ実験作に金を出させるのか、と言われればそれまでなんだが、少なくとも某大手エロゲメーカーのファンクラブオンリー販売のことなどを考えれば、誰でも入手できる点はいいかもしれない。これはある意味ファンサービスだ。陽の目を見ない作品ってのはファンにとっては一番のレアものであり、プレミア対象となる。
んが。
今回の『プレミア』ものはおそらく『永遠の都』だ。
賛否両論はあった作品だが、仮にも『ちぇり〜そふと』デヴュー作である。ボリュームは抜群だ。
なんと言っても『ビジュアルノベル』(©Leaf)と言うジャンルが大ヒット、市場が一気にソッチを向いてしまったことを受けて作られた作品なのだ。発表当時は『痕』や『雫』などの直系とまで言われた(ま、その評価には多少異論があるが(笑))。
今回わざわざアドベンチャー形式にしたのは、ゲームエンジンが違うためだろう。でもシナリオは一緒。CGも一緒。
リメイク前と後でどっちがどうと言うのは抜きにしても、シナリオ自体に変わりはない。オマケシナリオが削られたのはちょっとアレだけど……。
てなことで、今回こんな形で出ちゃったので再販はないんだろうな、と(笑)。なので、再販版を待っていた人にとっては『買い』である。永遠の都。久しぶりにこう言うゲームやるとなかなかオッケーです。今読んでも「ちょっと詰めが甘いかな?」と思うけど、でもボリューム満点、意欲も満点。当時よりも今やった方がオススメ。いや、単に自分自身が最近ノベルをやってないだけなんだけどね。
『永遠の都』のシナリオは決して完璧ではない。でも楽しめる。個人的には当時のちゅんく氏のシナリオの方が好きなぐらいだ。
てなことで、今回の点数はneigeと永遠の都を足した(タイトル通り『neige+永遠の都』)点数を2で割ってみた点数である。
どっちのタイトルがどうか、ってのは書かないでおく。『パッケージ』として買って遊んでナンボ、ってのがこの批評のスタイルである以上は2本セットの点数でないと意味がない。
そんな感じで、買いかどうかは言外をお察しください(笑)。少なくともワゴンセールで2000円だったら絶対に買え(爆)。